宮部みゆき「ステップファザー・ステップ」

優しくほろ苦い、偽物親子の物語。
語り部兼主役は泥棒です。もしこれが漫画作品だったら、何処ぞの都知事様が「犯罪者を不当に賛美している」とか喚き出しそうな気がしないでもありません。

仕事で怪我を負い万事休すかと思いきや、お神酒徳利が如くそっくりな双子に助けられる泥棒さん。しかし双子は泥棒である事を黙っているのと引き換えに、とんでもない要求をしてきます。それは……

「「僕たちのお父さんになって!」」

かくして二人ぼっちな双子と、父親役を演じなければならなくなった泥棒さんの、ちぐはぐな偽家族生活が始まるのであった。


著作は連作短編集となっており、泥棒さんと双子の周りで起こる様々な事件を泥棒さん視点で描いています。いい大人が子供達に振り回される図というのは、想像するだけでほのぼのしてしまうのではないでしょうか?

でもそれだけではないのが宮部みゆきと言うべきか。

この作品の主な舞台は、辛うじて郊外と呼べるような場所にある、新興住宅地。双子の両親は、仕事の都合で都会に部屋を借り、離れて暮らしていました。そしてある日、それぞれの愛人と手に手を取って駆け落ちしてしまう。「俺(私)がいなくなっても、相手が面倒を見てくれる」と。

……なんつー親だと思うんですよ。彼等は自分の幸せを優先して、双子を捨てたようなものなんですから。

それでも双子にとっては実の親、本当の両親なんですよね。
いなくなった両親を恋しがるどころか、両親の行動を「まぁ仕方ないよね」的に受け止めていましたが、本当のところなんて誰にも分かりません。
しかも贈り物をしたり電話をしてきたりと、本当の両親は現れないものの、所々でその存在を主張してきます。

ふとしたことから双子達に殺されるのではないかと疑心暗鬼に駆られてしまう「ヘルター・スケルター」では、その辺りの心の葛藤が語られています。偽物は本物にはなれない。彼等の偽親子劇は、いつか覚める夢でしかないのです。

続きを感じさせるような作品なんですが、続編は出ていません。

いえ、続編は何処かの雑誌で何本か書いたようなのですが、作者本人が「単行本化」はしないと明言し、実際に現在に至るまで単行本にはなっていませんので、まぁ何というか……諦めろ的な?

全体的に優しい空気を漂わせておきながら、絶妙のタイミングで現実を叩き付けてくる。宮部みゆきはそこら辺の描写が抜群に上手い作家さんだと思います。

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