有栖川有栖「46番目の密室」

臨床犯罪学者・火村英生が、二つの密室殺人の謎を解き明かす!
まず最初に。

この作品は大学助教授(今は准教授ですね)の火村英生を探偵役に据え、その友人で作者と同姓同名の推理作家・有栖川有栖を語り部とする「作家アリスシリーズ」の、記念すべき第一作目です。

作者と同姓同名の有栖川有栖を語り部とするシリーズは、実はもう一つあります。そちらの方は大学生・有栖川有栖を語り部とし、サークルの先輩に当たる江神二郎を探偵役とした「学生アリスシリーズ」。

ややこしく思えるかもしれませんが、それぞれのシリーズの有栖川有栖は同一人物ではありません。でも全く繋がりがないわけでもないという、両方のシリーズを読む人間にとっては、ちょっと嬉しい設定だったりします。

……脱線はここまでにして。

著名な推理小説家・真壁聖一の住む別荘「星火荘」で起こった、不可解な二つの密室殺人事件。
別荘に潜り込み、殺された男は何者か?
真壁聖一は何故殺されなければならなかったのか?

別荘に客として訪れていた「私」有栖川有栖と、その友人にして大学助教授の火村英生が辿り付いた、驚愕の真実とは!?


何と言うか、「そういうオチかよ!」とは正直思いました。

犯人の動機等、最後の方は結構サラッと流してしまっています。とはいえ生々しく殺意を抱く過程を描写されたら、それはそれで読み手が困りそうな動機なので、このぐらいアッサリした方が良いのかもしれません。

シリーズ作品はもう何冊も読んでいて、「46番目の密室」自体はかなり久しぶりに読み返してみたわけですが、全体的に荒削りな印象を受けます。特に探偵役の火村英生に関しては、文章の端々から「作者自身もキャラクターを掴みかねているのではないか?」という疑念を抱かせる、かなりの不安定ぶりです。

これは個人的な見解ですが。

「46番目の密室」の火村英生というのは、この後に発売された同シリーズで出てくる火村英生のプロトタイプだったのではないでしょうか?

キャラが完全に確立されたとも言える近年の作品と比べると、この作品の火村英生は似て非なる存在としか思えないんですよね。基本ベースは同じものの、細かい部分が違うから違和感が強いというか。

「46番目の密室」では粗野で子供っぽい描写が所々にあるのに対し、近年ではクールさを押し出している感がある。これは語り部である有栖川有栖との対比を明確にする為にそういうキャラ付けにしたのか、単に作者の趣味なのか。
どちらにしろ私の中で「46番目の密室」だけは、火村英生のキャラクター設定が微妙に違う、別物のように思えてしょうがないのです。

そうは言っても彼等の大学時代の出会いのエピソードが書かれていたりと、作家アリスシリーズとして外すことのできない作品であることは確か。新装版も出ていますので、初めての方はそちらを手に取ってみてはいかがでしょうか?
新しい装丁カッコイイなー、いいなー……。

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